SW2.5の雑感 その②

それでは前回に引き続き、SW2.5の雑感を書いていきたいと思います。

 

 

 

新しい冒険の舞台

 SW2.0の舞台となったテラスティア大陸(と、レーゼルドーン大陸)から離れ、SW2.5からは新たにアルフレイム大陸を舞台に物語が始まります。我々の世界での北アメリカぐらいの面積があるらしいです。

 

 “呪いと祝福の大地”という呼び名にアルフレイム大陸の特徴が表れています。アルフレイム大陸はマナが濃密な地であるらしく(それが理由で悲劇が訪れるのですが…)、「浮遊岩群」(⇒『Ⅰ』376頁)なんていう面白い地形もあるみたいですね。こういうファンタジーファンタジーしい場所は好きです。

 

 そんなアルフレイム大陸はどうやら神紀文明時代には比較的平穏だったようですが、魔法文明時代に魔法王達によって様々な実験が行われ、“奈落”が作られてしまいます。これに関してはまた後で話します。

 

 アルフレイム大陸の特徴としてその魔導機文明時代の繁栄ぶりがあります。なんたって魔導列車が走ってるぐらいですからね!ルルブを買う前には「それじゃあ今後の冒険者のメジャーな移動手段は馬車から鉄道に変わるんかね?」と思っていましたがそういうわけではないようで、今のところは鉄道はキングスレイ鉄鋼共和国を始めドーデン地方(⇒『Ⅱ』319頁)でのみ見られるようです。鉄道がある場所ない場所をGMが選択できることは良いですね。何しろSW2.0→2.5のアップデートでも特に目立つ要素なので、キャンペーンとかにメリハリをつけられそうでいいですね。

 

 魔導機文明時代の繁栄の名残は他にもあるようで「魔導巨兵」(⇒『Ⅰ』376頁)もかなり面白いですね、秘境の先に見つけた朽ちた機械の巨兵…、その内部には広大なダンジョンが!なんて胸熱だと思いません?

 

 列車や巨兵みたいな派手なものの他にも身近なところにも名残があり、魔導機による街灯があるようです。あと現在も復興が行われている街道もこの時代の名残だそうで、街道の跡の先には魔導機文明時代の遺跡が残っていることが多いらしいです。これもシナリオフックになりそうですね。

 

 “呪いと祝福の大地”というだけあり、そこに住む人族にとて良い要素も悪い要素も大きいように感じます。冒険者たちは多くの場所で活躍することでしょう。

ケルディオン大陸

 奇妙な海流の関係で、一度流されると二度とアルフレイム大陸には戻ってこれない…。そこからつけられた名が“帰らずの大地”ケルディオン大陸………。

 

 ここは各プレイグループが自由に設定を生やす為に準備された大陸であり、公式からは一切触らないとしています。

 

 「公式設定との乖離や齟齬が気になる方はこちらを使って自由な創造をお楽しみください」とのことですが、これはなかなかに良いと思います。SWの魅力というのは、長い歴史によって形成された世界設定の分厚さであり、どうしてもそこが気になってしまう人はいると思います。他にもオリジナルのデータや地名をバンバン出していクリエイティブなプレイグループもあるでしょうし、そういった層に真っ白なキャンバスの提供がされたというのは大きいんじゃないでしょうか。外野からとやかく言われる煩わしさもなくなりますし。

 

 全体的にSW2.5ではこういった「してもいい、しなくてもいい」みたいな選択肢が多く与えられているような気がして、SW2.0時代以上に懐が深くなっているように感じます。

 

奈落の魔域

 魔法文明時代の大規模な魔神召喚儀式の失敗により、アルフレイム大陸最北部コルガナ地方(⇒『Ⅲ』297頁)には巨大な異界への穴が開いてしまっています。これが“奈落”であり、そこから現れる魔神に対応する為に、100mを越える防壁が作られ、常に守人が警戒に当たっています。

 

 アルフレイム大陸では、この“奈落”の飛び地的存在である“奈落の魔域”が突如生み出されることがあるそうです。ルルブⅠには「ウィルダネスダンジョン(野外の迷宮)」「“魔剣の迷宮”の野外版」などと書かれていますね。気軽にハクスラを作る為の設定ってことですね。

 

 どこにでも現れる・外観と広さが異なる・中の様子は森でも湖でも城塞でも都市でもOKという、なんでもありな不思議空間という感じらしいです。どこにでも現れるというのがかなり便利そうです。シナリオの中に設定に無理なくダンジョンを入れられます。僕はダンジョン作るのが大好きなので、これはめちゃうれしいです。

 

 アルフレイム大陸では魔神も大きくフィーチャーされています。新種族のティエンスは魔神と戦う為に生まれた(⇒『Ⅲ』282頁)とされており、魔神に返信する蛮族の種族が表れ、魔神に親を殺されたとしか思えない大神が登場しています。今までは強力な魔物といえばドラゴンみたいなイメージがあったと思うので、ここもSW2.5の色なんじゃないかなと思います。

 

新しい魔物

 エネミーも大きく更新されて、リストラされた種族もあれば、新たに登場した種族もあります。

  

 僕の中では敵種族はPL種族と同じぐらい重要です。ただ出てくる敵を倒すだけのシナリオは面白くないので、そこに何かしらのストーリー性が必要になってきますが、敵種族の特徴を拾いあげるだけでもシナリオはかなり面白くなると思ってるからです。今回結構多くの魔族が入れ替わっていますが、なかなか個性的な種族も多く、解説を読むだけでもなかなか楽しいです。

 

フッド

 妖魔(蛮族の中でも弱い種族)には新たにフッド(⇒『Ⅰ』437頁)が登場しました。妖魔らしく「単体は弱いけど数で勝負」みたいな感じの種族です。

 「自らの醜さを恥じており、人間やエルフなどの美しいものを殺すことに喜びを感じる」というヤベー考え方を持っており、個性的にはとても好きな種族です。他の強い蛮族に服従していることがちらほらと書かれており、とても出しやすい種族です。彼らに関してはショートストーリーズを読んでいただけるとまた理解が深まって面白いと思います。

 

ディアボロ

 ドレイク、バジリスクに並ぶ上位蛮族としてディアボロ(⇒『Ⅱ』306頁)が追加されました。ディアボロも他と同じように変身する能力を持っており、魔神へと姿を変えることができます。

 

 どうやら魔法が得意ではないようで、代わりに高い身体能力を持っていたり呪いをまき散らしたりできます。魔法がないのはGM側としては楽で嬉しいです(けどあんまり上位蛮族感はないよね)。

 

 (おそらく)人族の魔法王によって作られた、魔神とのハーフである。体に宝玉が埋め込まれている。など、人族のティエンスと多くの共通点を持っています。これなかなかいいシナリオフックになるんじゃないでしょうか。ロールプレイにも活かせそう。

 

 まだセッションで遭遇したことがないからちゃんとは分からないんですけど、先輩2種族と比べると少し地味な印象。あんまり設定を活かす方法が思いつかないです。素直に蛮族の指揮者として部下を率いて登場させるのが一番なんだろうか?

 

 アルフレイムには「奈落大協会」や「“箱庭迷宮”チカトロ」みたいな怪しい土地ありますし、アビスや、“奈落の盾神”イーヴとか、意外と組み合わせやすいシナリオフックは多いかも。

 

フェロー

 新しいキャラクターの形であるフェローですが、最初は面白い試みだな。と思ったけど、今は微妙なシステムだなと思っています。

 

 一回使ってみた感じなのですが、当然のようにキャラクターに比べてフェローは明らかに弱くなってしまうので、PLの人数調整という意味では微妙かなぁと。セッションの主人公はPCであるべきなので、そういう意味ではフェローが強いのは問題がある為、そういう調整をしてあるのかもしれませんが、現状人数不足解消の為に積極的にフェローを採用しようという風には僕は思いませんね。

 

 ただ、持ち回りでキャンペーンをプレイしてるプレイグループにはそこそこうれしいんじゃないでしょうか!GMの番になったときに自分のキャラクターがパーティにいないのってちょっとアレですからね。他にも先頭に介入できるNPCという形でシナリオギミックで組み込む場合にも少ない情報量でまとまってて使いやすいかもしれないです。

 

まとめ

 SW2.5でも多くの冒険者の活躍の舞台が与えられているように感じます。列車や魔界の迷宮、フェローといった、決して遊び方を限定しない選択肢が増えているのがうれしいところです。ただそれだけじゃなく比較してもボロボロの街道、城塞都市といったアルフレイム大陸固有の色もあります。〈大破局〉からの復興が始まったばかりであるという点が強調されている一方、キングスレイ鉄鋼共和国のように大きく発展している国や地域もあります。全体的にプレイの幅が広がっているように見えます。

 

 インビジブルビーストやハイマンとか、個人的に好きな要素がルルブから入れ替わって消えているのは残念ですが、SW2.5でもSW2.0時代のサプリは使えるらしいので、あんまり文句はないですね。

 

 なにより10年間同じ大陸で続いていたソード・ワールドに新しい風が入ったのがいいことだと思います。やっぱり知らず知らずのうちにマンネリ化を感じていたのか、周りの友人もSW2.5に盛り上がっていますし、新しく始める層にも優しいんじゃないかと思います。